2023/08/05 11:53
和紙クラフトみずのきは、夫婦2人(店主 うたの・相方 タケクマ)のチームで、色付けに和紙を使った作品を日々制作しております。
普段は、制作した作品をオンラインで販売したり、ハンドメイドイベント等に出店して販売したり、といった活動をしています。
私達のもの作りで最も特徴的な部分は、『作品の色付けに和紙を使うこと』です。
このページをご覧いただくことで、「和紙を使った色付け」の面白さや奥深さを沢山の方に知っていただきたいと想っております。
また同時に、私達の作品についてはもちろん、「和紙」そのものの魅力についてもお伝えすることができれば嬉しいです。
◆ 私達の活動や作品をご紹介する動画です。
※上記動画は、2021年にCreema SPRINGS様にてクラウドファンディングのプロジェクトを掲載した際に使用した動画です。一部に現在の活動状況と異なる内容が含まれております。
実は和紙で色付けしています!
~和紙ならではの色合いや質感を楽しめる和紙アートを、日々の暮らしの彩りに~
日本の伝統工芸品である和紙。私達はこの和紙を使って色付けした和紙アート作品を制作しています。

まず初めに、私達の制作方法の大きな特徴である「和紙で色付け」の魅力や「そもそも和紙で色付けってどういうことだろう」という点についてなど、お話させていただこうと思います。
そして次に、『手づくり工房みずのき』の歴史や制作技法について詳しくご紹介いたします。
少し長くなりますが、最後までお読みいただけましたら嬉しいです。
産み出す作品は和紙のちぎり絵の立体版
~全国から買い集めた130種類以上の和紙で、作品を鮮やかに彩ります~
手づくり工房みずのきで制作している作品の多くは、
①樹脂や粘土で形を作る
②色のついた和紙をちぎって貼り付けて色付けする
③必要に応じて作品にコーティングを施したり、金具を取り付けたりする
といった工程によって作られています。
樹脂や粘土で形を作り、その表面に色の付いた和紙を貼り付けることで着色するという制法で、いわば和紙のちぎり絵の立体バージョンといったイメージです。
◆ 作品の制作工程を詳しくご紹介する動画です。
※上記動画は、2021年にCreema SPRINGS様にてクラウドファンディングのプロジェクトを掲載した際に使用した動画です。一部に現在の活動状況と異なる内容が含まれております。
色付けのバリエーションを増やすために全国の和紙を買い集め、現在では130種類を超える和紙が工房にあります。
その沢山の和紙の中から、それぞれの作品の色合いに適した和紙を選び、手で細かくちぎって丁寧に貼り付けていきます。

仕上がりは、一見して和紙であることがわからない程リアルな色合いとなり、お客様からもご好評いただいております。
また、絵具等の着色と異なる和紙のやさしい色合いや質感も、「他に無い」とご好評いただいている所以だと思います。

~作品のモチーフについて~
私達の作品では主に、普段の暮らしの中で身近な食べ物や生き物(野鳥、魚、植物など)をモチーフとしております。

作品を通して、日常の中に隠れている美しさや面白さを表現したい。
そして、普段あまり意識しないような「ふつう」にスポットライトを当て、何気ない日常の中に素敵なもの達が沢山溢れていることを、作品を通して感じていただければ…と想っております。
そういったモチーフの作品に、和紙のやさしくあたたかな色合いがとてもよく合うと感じています。
和紙にしか出せない色がある
~作品を通して、和紙の魅力をお伝えしたい~
私達の作品には、和紙にしか出せない色合いや雰囲気があります。
私達の和紙アート作品をご覧いただき、また、実際にお手に取っていただくことで、「和紙でこんな色が出せるんだ!」という驚きを体験していただけましたら嬉しいです。
そして、「和紙による色付け」という技法を皆様に知っていただき、私達の作品を通して、和紙の面白さや魅力を感じていただきたいと思っております。

和紙クラフトみずのき と 作品の制作技法 について
最後に、私達『手づくり工房みずのき』と私達の作品や制作技法について詳しくご紹介いたします。
1. 手づくり工房みずのきの歴史
~和紙との出会い~
和紙との初めての出会いは、店主うたのが小学生の時のこと。
家族旅行先で立ち寄った土産物店で、店内に置かれていた和紙に釘付けになったのが出会いのきっかけでした。
今までに見たことのない、和紙の美しい色合いに惹かれ、何に使えるか見当がつかないまま、それをお土産に買ってもらうことに。(本当にこれでいいの?と訝しげだった両親の表情を今でも覚えています。笑)
この時に買ってもらった和紙は、大人になるまで一度も使うことはなく、時々出して眺めたり触れたりして楽しんでいました。

創作活動を本格的に生業としたいと考えるようになった頃、何か自分らしい素材を使いたいと考えていました。
そんな時ふと思い出してひっぱり出してきたのが、子どもの頃にお土産に買ってもらった和紙セット。
それが「和紙」との、実に20年ぶりの再会でした。
~イラストから立体作品へ。それぞれの得意を活かした夫婦の共同制作~
和紙との再会を果たした後、しばらくは「和紙のちぎり絵」を描いていました。
和紙を使ってもっと面白いことはできないだろうかと考えていた時に、後に『和紙クラフトみずのき』として仕事上でもパートナーとなる相方(タケクマ)から、「和紙を使った立体作品を作ってみたら」というアイディアが出ました。
そうして試行錯誤の末に誕生したのが、「樹脂や粘土で作った飾りを和紙で色付けする」という現在の基本の制作スタイルです。
色付けとイラスト制作が得意な『店主 うたの』 と 立体創作が得意な『相方 タケクマ』 が、それぞれの得意を生かし不得意を補い合うという、夫婦二人の共同制作スタイルも同時に確立しました。

2. 和紙による着色技法について
~和紙で色付けするってどういうこと?~
私達の作品の一番の特徴は、作品の色付けに和紙を使っていることです。
ただ、「和紙を使った色付け」という言葉だけでは、なかなかイメージするのが難しいかと思います。
色の付いた和紙をちぎってキャンバスに貼り付けて描いた絵を「和紙のちぎり絵」といい、これはイメージしやすいかと思います。

上の写真の絵は、手づくり工房みずのきで制作している和紙のちぎり絵の一例です。
「和紙のちぎり絵」では、平面のキャンバスや紙などが土台となり、そこに、ちぎった和紙を貼り付けて絵を描いていきます。
一方で、ご紹介させていただいている立体型の作品の場合は、まず、土台となる食べ物や動物等の立体物を「樹脂」や「粘土」で作ります。

そして、樹脂や粘土で成形した真っ白な立体物の表面に、和紙を貼りつけて色を付けていきます。

そのため、「和紙のちぎり絵の立体バージョン」という風に考えますと、「和紙を使った色付け」という制作方法がイメージしやすいかと思います。
~和紙そのものを活かした色付けを~
作品を和紙で色付ける際に、私達が大事にしていることがあります。
それは、和紙が持っている元々の色合いや質感をできる限りそのまま活かして、作品のモチーフに合った色付けをすることです。

3.「和紙で色付け」3つのポイント
ここからは、和紙を使った色付けについて3つのポイントに分けて、いくつかの制作例をご紹介していきます。
ポイント① 和紙の貼り方にも ひと工夫
ポイント② 和紙を重ね、色をつくる
ポイント③ 色だけではない!和紙の種類もいろいろ
~ポイント① 和紙の貼り方にも ひと工夫~
● 和紙をしわしわにする
例えば『焼き芋』をモチーフにした作品では、ちぎった和紙にしわをつけて貼り付けることで、焼き芋の皮をリアルに表現しています。

● 和紙でこよりを作る
こちらの『焼き鯖』をモチーフにした作品では、細長くちぎった和紙でこよりを作り、それを貼り付けることで、焼き鯖の裏側に見える骨を立体的に表現しています。

● 和紙を小さく丸める
こちらの『アスパラのベーコン巻き』や『ワレモコウ』をモチーフにした作品では、小さくちぎった和紙を指で丸めて貼り付けることで、アスパラガスのつぶつぶした葉の部分や、ワレモコウの小花が集まって咲く様子を表現しています。

● 和紙をハサミで切る
作品のデザインによっては、ハサミやクラフトパンチで切り抜いた和紙を貼り付けることもあります。
例えば『ハコフグ』をモチーフとした作品では、和紙に鉛筆で六角形の模様を描き、それをハサミで切り抜いたものを貼り付けることで、独特な六角形をしたウロコを表現しています。

こちらは、干支の動物の置物『トラ』の色付けの様子です。トラ独特の黒いしま模様も、切り抜いた和紙を貼り付けることで表現しています。

このように「和紙による色付け」は手間暇がかかる細かい作業ではありますが、作品のモチーフの良さを和紙を使って最大限に引き出すため、貼り方を日々試行錯誤しながら制作しています。
~ポイント② 和紙を重ね、色をつくる~
和紙で色付けを行う際に、1種類の和紙で求める色が表現できる場合もありますが、それではどうしても欲しい色合いが表現できない場合もあります。
そんな時には、必要な色を表現するために、数種類の色の和紙を重ねて貼り合わせていきます。
例えば、薄い和紙は 後ろ側が透けて見えます。この透ける薄い和紙を 別の和紙の上に重ねて貼ると、下側に貼った和紙の色が、上側に貼った和紙(薄い和紙)の透けている部分からのぞいて見えるようになります。

このように、1種類だけでは表現できない新たな色合いを作り出すことで色のバリエーションを増やし、色付けやデザインの幅を拡げています。
和紙を重ねて貼ることにより、美しいグラデーションを作り出すこともできます。
こちらは『練り切り 紅葉』の色付けの様子です。緑、黄色、オレンジ色、赤色の4色の和紙を、順番に重ねて貼り付けています。

~ポイント③ 色だけではない?和紙の種類もいろいろ~
ここで、私達が色付けによく使う代表的な和紙の種類をご紹介いたします。
和紙には色合い以外にも、厚さや薄さ(透過性)、漉き込まれた繊維の太さや色の濃淡のムラなど、様々な特徴があります。
以下でご紹介する和紙は、そうした様々な特徴をそれぞれに持っており、その違いを活かして色付けすることで、作品の色合いや質感のバリエーションが大きく拡がります。
◇ 民芸紙 ◇
厚みがあり、色合いにムラがなく比較的均一な和紙です。色付けの際、ベース部分に貼り付けることが多いです。

◇ 雲流紙 ◇
比較的薄いものが多く、繊維がたくさん漉き込まれています。
鳥の羽毛など、繊維の質感を活かしたい作品の色付けによく使います。
また、和紙らしさを分かりやすく見せたい時や、スッキリした流れるようなデザインに仕上げたい時などにも活用しています。

◇ 典具帖紙 ◇
裏側にかざした手が透けてよく見えるほど薄く、やわらかい和紙です。
別の和紙の上に貼って、色合いを微調整するのに向いています。また、やわらかく優しい雰囲気を出すのにも適しています。

作品の一番外側にどのような和紙を貼るかによって、作品のイメージが変わります。
そのため、色合いだけではなく、どのような質感の和紙を使うのかという点も含めて、作品のモチーフに合った和紙を慎重に選んでいきます。
作品を御手に取られました際には、このような点にもご注目いただきながら、作品をお楽しみいただければ嬉しいです。
~和紙の可能性をこれからも追い求めて~
それぞれの作品に合った色や質感など、多様な表現を実現するために、これからも沢山の種類の和紙が必要となります。
様々な和紙を全国から買い集めておりますが、その過程での新たな和紙との出会いも、とても楽しい瞬間です。
これからも様々な種類の和紙を集め、和紙のことを知っていきたいと思っています。
そして、着色方法の1つとしての和紙の可能性を追求し続けていきたいと思っております。

最後に
和紙のもつ独特の色合いや質感に出会ってから創作活動を始めた手づくり工房みずのきですが、今後も創作活動を継続し、一人でも多くの方々にお喜びいただけるような作品を作り続けていきたいと想っております。
本ページをご覧いただいたことを機会に、私達の作品や、和紙による着色技法の奥深さ、そして、和紙そのものの魅力を、沢山の方にお伝えできていれば幸いです。
『もっと みずのき!』を最後までお読み下さり、本当にありがとうございました!!

手づくり工房みずのき 店主 うたの / 相方 タケクマ